花についての話 |
伝令神ヘルメスとニンフとの間に産まれたシシリアの羊飼いダプニスは、とても愛らしい子供でした。母であるニンフはもちろんのこと、他の神々からもとても愛されていましたが、ダプニスは傲慢で、誰のことも愛することができませんでした。
そんなダプニスに対し、女神アフロディーテの計らいにより、一度はエケナイスを愛したのですが、元々誰も愛することができない傲慢なダプニスは、エケナイスを捨ててしまったのです。女神アフロディーテはとても怒り、彼を許すことが出来ませんでした。制裁として、ダプニスの視力を奪ってしまいます。
目が見えなくなったダプニスは、己の不幸を嘆き悲しみ、その身をアナポス河に投じてしまいます。こんな自分勝手なダプニスでも、ニンフや神々、そして獣や大地までもがダプニスの死をとても悲しみました。大地がその死を惜しみ、アザミの花を贈りました。悲しみの印として、アザミにはトゲがあるのです。
|